ここにしかない何か特別な空間

エグモント・ホイスコーレという特別な空間について

エグモント・ホイスコーレは、デンマークのオーフスに程近い港町HOUに位置する”フォルケ・ホイスコーレ”だ。この学校の特徴は、障がい者と健常者が同じ場所で学び同じ場所で寝食を共にする所である。この学校の生徒のうちの半数は、様々な障害(身体障害・知的障害・発達障害)を携えている。残りの健常の生徒を彼らががアシスタントとして雇用するのである。障がい者は雇用者として、スケジュールの管理や、アシスタントへの指示を行う。これは、オーフス式と呼ばれる、デンマークで生まれたパーソナルアシスタント制度とよく似ている。生徒の年齢は18歳~20代前半の比較的若い学生が多く、介護の経験のない人が大半である。よって学校内ではここにしかない独特な調和がおこっている。

エグモントでは車いすに乗った人でも、気兼ねなく楽しめる。アウトドアもアシスタントや担当教員が福祉器具を使って全力でサポートする。週末になればみんなお酒を飲み、学校のクラブで音楽に合わせて踊る。電動車いすがクルクル回っていたり、車いすのタイヤ部分に人が乗っかる異様な光景がエグモントの普通だ。

毎日が楽しくなるようなアクティビティや授業がここにはある。しかし、それは全員で作り上げるものだ。エグモントでは、どんなことにも話し合いが助け合いが求められる。

エグモントの中では、障害、年齢、肌の色、学歴は関係ない。みんな等しく、それぞれの個性を尊重している。

なぜエグモントが成り立つのか

まず、エグモントという教育機関を成り立たせているサポート関係を紹介したい。

①HHA(寮内ホームヘルパー)オフィス

②ペダル(修理工) 

③ヘルピングティーチャー 

④学生ヘルパー

  

①介助に関する専門的な知識を持った職員(HHA)が24時間駐在している点。学校の保健室のような役割を持つ。緊急時にはすぐに駆け付け対応を行う。また学生ヘルパーはHHAから身体介助に関するアドバイスや講習を受けることができる。

 

②修理や点検を行う職員。居室内の様々なトラブルへの対応、家具の補充、車いすや福祉機器の貸し出し・点検等を担当。

 

③おらゆる場面で生徒を補助する役割を担っている職員。主な業務は、授業内外での介助、英語翻訳、生徒の送迎等。

 

④重度障がい者に直接雇用され、日常生活の介助を行う学生。

 

エグモントでの介助者と障がい者の関係は、デンマークのオーフス市で生まれた、パーソナルアシスタント制度を意識して構成されている。

パーソナルアシスタント制度は、障がい者が自立生活をする上でかかる介助などの経済的負担を公的機関が保障する取り組みである。重度の身体障がい者でも、本人が直接、雇用・解雇を行う。

エグモントでも、上記のように障がい者がアシスタントとなる生徒を雇用し、スケジュール管理やアシスタントへの指示を行う。雇用主である障がい者にも介助の責任が生じる。その分、契約の範囲内であれば、自分のニーズにあった様々な要望を叶えることができる。